もう少しオリンパスOM-2の話を…
私はこの角度で反射する光を見るのが好きなのです。
あ、今回もレンズでなくてカメラの話でした(笑)
さて、OM-2をミラーアップの状態でレンズを外すと、大きなマウント中にシャッター幕が見えます。
普通、シャッター幕は乱反射しないように黒色ですが、OM-2のシャッター幕はデジタル風の模様が印刷してあります。
実はこれが凄い技術だったのです。
当時はファインダーの中にCdSが入れてあり光量によって抵抗値が変わりました。
それをメータに直結して針を動かしていた。それが普通でした。
しかもシャッターボタンを押すと、その時のメーターの針位置でシャッタースピードや絞りがメカニカル的に位置がロックされていました。数値演算処理などは縁が遠い感じでした。
それがOM-2の場合は応答性の良いSPD(シリコンフォトダイオード)を使って光量を測定していました。しかもファインダーにSPDを置かず、シャッター幕の前に向かって置いた。
フィルム面から見た写真になります。これはミラーボックス内です。
この写真では1個しか写っていませんが、SPDが蛙の目玉みたいにミラーボックス内の左右に2個あり、それぞれシャッター幕に向いています。
その向こうに大きく見えるのが50mmF1.4レンズの後玉になります。
このSPDでフィルムに写りつつある画像の反射光量を測光してシャッタースピードやストロボの光量を調整します。これは応答の遅いCdSでは実現不可能でした。当時としては高速な演算装置も必要だったと思います。
え、シャッター幕に印刷してある模様は?あ、そうでした。その説明をしているところでした。
フィルムの反射した光量を測光してシャッタースピードを決定している訳ですが、光量が少ない時は目的の光量になるまでシャッターは開いたままです。
しかし、高速なシャッターの場合はシャッター幕は全開しないで、先幕と後幕の間に少しスリットを開けてシャッター幕が動きます。光量が多いときはシャッター幕のスピード(動き)に影響することなく、フィルムに当たる光量を減らせるのです。
すなわちスリットの幅を調整して高速シャッターのスピードを調整します。
これによりシャッター幕は一定の速さで光量調整が可能となります。
OM-2 の場合は1/60秒以下でスリットなしの全開、それ以上でスリットを作ってシャッター幕が動きます。最高1/1000秒です。
スリットでシャッター幕を動かすかどうか、その時のシャッタースピードを決めるために、先にシャッター幕に反射するよう模様が印刷してあったのです。
高速シャッターの場合はシャッター幕の反射光で測光。
低速シャッターの場合はフィルム面の反射光で測光。
これがオリンパスOM-2のダイレクト測光です。
ここで気にしてください。フィルム面の反射率と同じにシャッター幕も反射しないといけない。
最初はフィルムと同じ色を塗ってみたそうですが調整が難しい。そこで思いついたのが白色のまだら模様。全体でフィルムと同じ反射率になればよい。しかも中央重点測光になるように中央部分に白い点を多くした。そのため低速シャッターは平均測光。
素晴らしいアイディアですね。
またデジタルぽく。う~ん、考えた人はどんな頭脳しているのだろう。
24時間356日間カメラのことを考えまくっていたのでしょうか?
そして脱色しないか自宅の窓に貼って確認までしたそうです。
昔の技術者には脱帽です。
撮影:Canon EOS10D EF100mmF2.8マクロ
<オリンパスの人間工学 OM-2の世界初ダイレクト測光 OM-2のペンタプリズム>
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