私が小学校に通う前の話。
起きると部屋には誰もいなかった。
寝る前には家族が揃って、狭いながらもガヤガヤと寝ていた。
そして寝る時には、よく絵本を読んでくれた母。
目が覚めた時は誰もいない。
誰もいない部屋で、音が欲しくてテレビをつける。
昼間のテレビは子供には退屈だ。だからいつも決まって
教育放送でチャンネルは落ち着く。それは私に話しかけてくれるからだ。
しばらくするとひとりぼっちだった事を思い出し、
ふらふらと家を出たことは何度となくあった。
少し歩いては寂しさが増し、また少し歩いてはいっそう寂しさが増した。
最後には堪えきれずに泣き出した。
子供の大泣きは声に出る。
涙も声も鼻も出尽くすと、これ以上泣いても仕方がないと悟り、
家に帰ってもう一度布団にくるまる。そしてそのまま泣き寝入り。
やがて昼が夜になり、星が見え始める頃に母は帰ってくる。
撮影:CAMEDIA C-2000ZOOM
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