マイクロソフトはハードを作らなかった。Windowsというソフトを作り、ハードは他社に作らせた。いや、最初はIBMが決めたハードの仕様にあわせてマイクロソフトが作っていたが、いつのまにか立場が変わって、ハードを作る会社がマイクロソフトに合わせて作るようになった。
そのため、ハードメーカーはハードを生かすためのソフト開発が難しく、Windowsも特徴のあるハードを生かすためのソフト開発は難しくなった。そう、どれも同じハードであり、そして同じWindowsが動く。
これにより、標準化が進んでハードとソフトのコストを下げる役割を担ったが、より多くのハードメーカーが誕生してしまい、単に価格競争の状態になった。
アップルはハードもソフトも自社で開発。そのため市場が小さい時は生産性が悪く、価格も高くなり、製品のサイクルを早くする訳にはいかなかった。それは多くの人には後手に見えただろう。しかし、一部の人たちには受け入れられた。ハードとソフトが協力して動く部分が良かったのだろう。
ところがインターネットが誕生して市場が個人消費へと広がると、個性のないWindows。家でも仕事と同じパソコン。また、初めての人には操作が難しい。
今までだと、特定の人や利用シーンを想定してコンピュータを作るとコストが合わなかった。でも、インターネットにより市場は世界へと広がり、開発者も世界へと広がった。
iPhoneは特化したハード。多くの専用のソフトを作るのは一社では無理だ。だからインターネットを使ってアプリケーションのソフトを求めた。無料から格安のソフトまで一気に集まった。これにより、特化したハードを作っても売れることが実証された。アプリケーションは利用者が作る。
これによりアップルは操作の利便性とソフトの市場を形成するところに注力すれば、専用機を作っても成功すると考えたのに違いない。iPadはその自信の現れだ。下手なハードメーカー一社よりも売れている。iPad専用に作ったパーツ屋さんも大喜びだろう。
Googleも携帯OSを作った。しかし、ハードはマイクロソフトと同様に他社へ依存だ。唯一、違うのは携帯OSをオープンソースにしたこと。これにより、ハードメーカーが自社に合うように携帯OSをカスタマイズできる。そこにマイクロソフトにない可能性がある。
ソフト開発は半年や一年で良い物はできない。だから今はiPhoneが強い。Googleの携帯OSはこれからだ。追いつくのに数年はかかるだろう。それまでにアップルが市場を制覇ができればアップルの一人勝ち。でも、そんなアップルでも、先の目標はハードではないかも知れない。実はGoogleと同じ広告収益も狙っている感じがする。
そんな中、マイクロソフトのこれからの戦略は見えてこないのは何故だろう。それはイノベーションが起こせないビジネスモデルになっているからかも知れない。新しい風は誰が起こすのだろうか。
どちらにしても専用機が作られる土壌はできた。アプリケーション開発は利用者に任せることで、専用機は生きてくる。パソコンの出始めも同じ環境だったことを思い出してもらいたい。重要なのは開発環境を無償で提供することだ。しかし、アップルは少しその道から離れている。iPhoneやiPad単体では開発ができない。もし、アップルと競争するならば、どっぷりと開発環境は利用者に無償で与えた方が良い。
マイクロソフトにはそれができるだろうか。できると、マイクロソフトもこの市場に参入できると私は思う。これは考え方次第だ。いつでも舵は切れる。するか、しないかだ。
0 件のコメント:
コメントを投稿