私はこのニュースに愕然とした。
なぜならば、ソニーは競合企業が分からなくなっていると思えたからだ。
ショックが大きいので長々と書く。
アップルは明確だ。iPhoneにアドビのFlashを使えるようにしない。これは将来はアドビと競合するビジョンを描いているからだと思う。きっとアップルはハード屋さん、ソフト屋さんからデジタル流通屋さんへとシフトをする。たぶん、その戦略の中にFlashがあると新しい市場制覇が危うくなる。私はそう解釈している。
IBMはコンピュータ業界のハード屋さんだった。ハードを売るためにソフトを開発していた。ただ、巨人IBMだったので、新しく登場したパソコンのちっぽけなソフトを開発する気にはなれなかったようだ。マイクロソフト社というベンチャー企業にでも作らせておけ。となり、ハードよりもソフトが重視される時代になったときに立場が変わってしまった。
そして後を追うようにIBMはソフト重視に戦略が変わっている。また、日本国内コンピュータメーカーの多くもハードからソフトへ比重が変わっていると思う。ハードは海外から調達か、海外生産だ。
私はその市場のプロならば10年ぐらい先はビジョンを描けていないといけないと思う。当然、途中でビジョンの変更はあるかも知れないが、最初から描けなくなっていると大変危険な状態だ。私は経営に問題がなくても危篤状態に近いと考える。
さて、日本の家電メーカーへと目を向ける。
ハードを作り上げる技術は世界で有数だ。でも、技術は追いつかれる。継続して高めていければ問題はないが、市場がコモディティ化すると高い技術は求められなくなる。そこで新たな市場を作らないといけないのだが、そこが難しい。だから多くの企業が企業規模を縮小してしまう。ある意味、新旧交代であり、イノベーションだ。
ソニーはどうだろう。
現状、ソニーが競合企業として認識していると思えるのは、パナソニック、キャノン、任天堂、アップルやデルだろうか。
今回の提携はアップルなどの市場拡大に危機感を感じて、早急に対応するためにGoogleと提携したと私は考える。ハードをソニーが作ってソフトはGoogle。Googleはハードに興味がないから、きっとGoogle的には提携はウェルカムに違いない。
え、GoogleはAndroid携帯を開発している?だからハードにも興味があるのでは?
それは違うと思う。ソフト屋さんがより良いハードを他社に作ってもらうためには、基準となる仕様を提示しないといけない。それがハードならば、より明確だ。しかも、他社に委託をして作っているから開発費も安い。たくさん販売する必要もない。リスクはないのだ。今回はソニーが協力してくれる。
私はAmazonの電子ブクリーダーKindleも同じと考えている。本をデジタル書籍化するためにどうすれば加速するのか。そのためにはハードを作らないと、誰も切り開いてくれない。だったらAmazonが作る。私はそう理解している。
本がデジタル化すれば、世界レベルで流通コストが削減できるから。そしてiPadの登場でその役目をするので役割が終わりそうだが、AmazonとAppleのiBookstoreは競合になりそう。まさに見えないデジタル流通戦争だ。デジタル書籍の標準化が早く進めばAmazonの勝ちだろうか。
クローズで勝つApple。オープンで勝つAmazon。それぞれ収益を上げている市場が違うから、アプローチは異なる。表面の動きだけで一緒に見てはいけない。
Googleの収益はほとんど広告料。そんな業界は他には放送業界ぐらいか。ならばソニーとGoogleは競合していないように見える。でも、Googleはオープンで勝ち続けている企業だ。開発したソフトをオープンにする。その影響で市場の標準化が加速するし、Googleは技術的に優位な立場に立つことができる。
重要なのは標準化されるとコモディティ化に近づく。もし、ソニーがハードで収益を上げようと思っているならば、オープンな標準化によりソニーのオリジナル性がなくなる。早いうちに韓国や中国などと競争することになりそうだ。
ソニーはプレステーションなどの素晴らしいハードとソフトがある。プレステーションはデジタル放送も見れる。またデジタル放送のレコーダもある。既にテレビもインターネットもコモディティ化しているので、新たに高い技術を開発する必要はなく、既存の持っているハードとソフトを融合すれば、アップルみたいにオリジナル性を発揮して世界市場を制覇できると思えるのだがどうだろうか。
ソニーがその市場でリーデングカンパニーでないのならば、また持ち駒がないのであれば今回の提携はありだと思う。でも、私はソニーはリーデングカンパニーだと思っているから、今回の提携の話には驚いている。今回のソニーを皮切りに他のハードメーカーもGoogleのオープンなところを活用して、同じ市場に参入を始めるだろう。きっとGoogle携帯と同じ状況になる。それはハードの新規参入企業には垣根が低い市場となる。
Googleは自ら育てた市場が広がるので、今まで以上に広告収入は右肩上がりになりそうだ。今年後半から放送業界の広告料が取り崩されそうだ。ハード的には携帯とテレビはアップル、電子書籍はAmazonが切り込み隊長で、後からGoogleがその市場をオープンでコモディティ化する。この図式は当面崩れそうもない。日本も含めアジア諸国はアジアの中で競い合って満足している。
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