大分県豊後大野市で鹿や猪を駆除するために、中国やロシアからハイイロオオカミを輸入して放つ計画があるそうだ。鹿や猪で農作物が被害があり、そんな計画が考えられている。実際に農作物で被害を出している人たちは切実な思いかも知れない。でも、私はアプローチが間違っているのではないかと思えてしまう。
私はハイイロオオカミについては知識がない。ハイイロオオカミは人を襲わないから安全だと言われても、小学生の時に狂犬病にかかった野良犬が増えたために恐怖を経験したことがある。その時は地域の問題にもなっていて、子供一人であるかないこと、野良犬と出会ったら目を合わせないなどと小学校から通達が出ていた。特に群れになると大人でも負けてしまう。そんな経験から必ずしも安全だと思えない。
野鳥を見ていても思うことだけれど、彼らは一生懸命に食事をする。それは生きるため。お腹がいっぱいになって、時間に余裕ができれば遊んだりもする。そして子育ても一生懸命だ。身近な雀や燕を少し観察しても分かってくる。面白いのは幼鳥は何にでも興味を示す。
ハイイロオオカミも野に放たれると生きるために、子供を育てるために、きっと一日中狩りをしなければならない。晴れの日も雨の日も、体調が悪いときなどもだ。そして鹿や猪は大型動物の方だと思う。いつも鹿や猪を捕まえて食べている訳にはいかない場合もあるだろう。その時はウサギやネズミ、ひょっとしたら野鳥なども捕まえるかも知れない。家畜はもっと簡単だ。少しでも手軽な食べ物を探すのは自然な考えだと思う。
自然が壊れかけて大雪が降って、山の食べ物が減ると危険を覚悟で鹿や猪や熊などが山から下りてくる。ハイイロオオカミも食べ物になる猪などを求めて下りることがあるだろう。もっと食べ物がなくなったら群れで無防備な人間を襲ってもおかしくないと思えてしまう。子供やお年寄りが危なく感じる。夜は遠吠えもするだろう。農作物の被害で駆除だから、初めから民家周辺に放されるのだろうか。
それでも完全に家畜化されたオオカミなら安全かも知れない。野鳥で言うと家禽だ。鹿や猪が豊富に生息している時は狩りで食事。減ってくると人から食べ物をもらう。これなら安全かも知れない。でも鹿や猪を駆除を目的とした場合に行動を管理できるのだろうか。GPSの発信器を取り付けたりして管理するのだろうか。
実際、ハイイロオオカミの生態を観察したことがないので私には心配事しか出てこない。専門家が考えている計画なのできっと安全なんだろうけれど、情報の少なさで心配だ。
最後にひとつ。
私がもっとも気にする点はハイイロオオカミが野生で肉食だということ。だから群れで鹿と猪を食べさせる。食べさせることを目的として野生動物をコントロールできるのかです。
最後の最後にハイイロオオカミについて少しググってみました。
ナショナル ジオグラフィックWebサイト ハイイロオオカミのチームワーク
http://www.nationalgeographic.co.jp/video/video_title.php?category=1&embedCode=QzYzExOqfJzVYMJrtzwoDw9Fk7TOQ1Ne
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氷に閉ざされた冬の水田 |
撮影:Canon EOS 7D EF300mm F2.8L USM